農業やめとけ【スローライフなんて夢、ハードワークが待っている】
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現在私は農業に関わる仕事をしておりまして、農業って本当に大変だなと感じています。

都会に住んでいる人は、スローライフで良い暮らしができると思っていそうですが、実際は全く違っていて、稼げなくて大変なのが農業です。

昨今の円高、資材の高騰により様々なモノの値段が上がっていますが、野菜ってそんなに価格が変わりませんよね。

農作物の値段が上がっていないので、農家は大変なんです

特定の農作物の価格が上がれば他の農作物をチョイスするし、一年中価格が安定している冷凍野菜を買う消費者も多く、高値で生鮮野菜が取引されにくい構造になっています。

さらに重油の値段が爆上がりし、やればやるほど赤字の農家が出てきており、離農する人が増えてきています。

今回はちょっと長くなるんですが、失敗してほしくないので、農家やめとけって言われる理由を書き留めておきます。

農業やめとけと言われる5つの理由

農家はやめとけと言われる理由が大きく下記↓↓

  • 儲からない
  • リスクが高い
  • きつい仕事
  • 休みがない
  • 先行投資がかなり必要

詳しく解説します。

儲からない仕事

農家って本当に儲からない仕事です。

そもそも殆どの農家は農作物を農協や市場に出荷・販売しています。

これらの組織では、全量買い取りはしてくれますが、プライシング(値決め)は農家が決めることができず、言い値で買い取られています。さらに出荷した農作物の30%を手数料として持っていきます。

例えば、1kg/¥400のピーマンを100kg出荷したとしましょう。

通常であれば4万円の収入がありますよね。

しかし、出荷手数料(選果や袋詰め、大都市への輸送、販売)が30%引かれ、手元には2万8千円しか残りません。

これが農家の実情です。

何故このような状態になっているかと言うと、農作物は月に数百キロ~数千キロの収量が上がります。
毎日この量の農作物を農家だけで売りさばくなんて不可能です。

営農をしながら、販路を開拓し、梱包し輸送するみたいなことが現実的に難しいので、市場や農協にまとめて出荷しているのです。

この構図を利用して、市場やJAは農作物を買い叩き、さらに出荷した金額から10%~30%の手数料を持っていきます。

既得権益が蔓延っていて構造的に儲かることが難しい状況になっています。

リスクの高い仕事

農業は本当にリスクが高い仕事です。

昨今の台風で僕が仕事をする圃場も被災しました。

自然災害だけではありません。

病害虫の流行、連作障害(同じ場所で営農するリスク)、供給過多による価格の暴落、施設園芸の場合は経年劣化による補修、燃料代の高騰による損失、マジで大変です。

例えば、一般的な果菜類(ピーマン、ナス、トマトなど)の農家は、30㌃で1200万稼いで、経費で800万円持っていかれ、手元に400万円しか残らない感じです。これを3人工でやっています。

これが農業の現実ですね。

きつい仕事

農業ってマジでしんどいです。

夏は暑すぎてまともに作業できないので、早朝働き昼は休み夕方から暗くなるまで作業します。

体力的にマジできついです。(高齢の人よくやってんな....)

体力だけではありません。

農作物の生育状況をみて、栄養成長と生殖成長のバランスを考慮して適切な栽培をしなければ収量があがりません。

苗を定植したころは、栄養成長に重きを置いて木をつくります。

この頃に実がなってしまうと、生殖成長に栄養を使ってしまうので、木が育ちません。木が育たないと安定した収量が見込めません。

木が育ったら生殖成長に重きを置くので、実の収穫や摘果を行い、価値の高い売れる実を作る必要があります。

また、木に実をずっとぶら下げていると、着果負担と言われる現象が起き、その実が栄養を吸い続け、他の小さい実に栄養が行き届かなくなります。

これを避けるために適切な時期での収穫が必要で、これを毎日大規模に行わなくてはなりません。

摘果だけでなく、摘心や整枝(いわゆる剪定)を行い、木をしっかりとコントロールする技術も必要です。

放置してしまうと、伸びたい放題になるので、メンテナンスが欠かせません。

30アール規模を3人で回すのがやっとですね。

休みが無い

当然のように農家は休みが少ないです。

生き物を相手にしているので、ほぼ毎日生育状況を確認します。

仕事を怠ってしまうと、1年を全て棒に振ってしまう可能性があります。

農業系の求人をみてもらえればよく分かるのですが、年間休日80日とか90日みたいな求人だらけですよね。

生き物相手だと、基本的に休めないのです。

先行投資がめちゃくちゃ必要な仕事

畜産でも農業でも先行投資が莫大にかかります。

露地栽培で普通にやっても機械の代金、飼料、苗代など数百万円単位でかかります。

施設園芸(ビニールハウス)の場合だと、数千万円はゆうにかかります。

さらに災害に強いハウス、光をよく通すビニール素材、加温機などオプションをたくさんつければあっさり億いっちゃいます。

そんな大きな投資をしてもリスクがあるのが農業です。

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農業で働くメリット:やめとけと言われる所以

農業についてのデメリットを記載しましたが、メリットも存在します。

人間関係が無い

都会暮らしや人間関係に疲れた人には快適な職業だと思います。

パワハラまがいのことを言う人もいないし、精神的にやられるみたいなこともありません。

人にとやかく言われる事がなく、自分のペースでやれるのが農業の魅力です。

新鮮で美味しいものが食える

収穫した瞬間の野菜とか米って味が本当に違います。

これは農家の特権ですが、新鮮な農作物を食べるのって本当に幸せを感じます。

個人的にきゅうりと米の獲れたては最高です。店に並ぶモノとは比べ物になりません。

健康になれる

晴耕雨読ではないですが、早起きして植物と一緒に仕事し、新鮮で美味しいものを食べて早く寝るみたいな仕事は健康そのものです。

一気におじいちゃんみたいな境地に行き着くことができます(笑)

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農業やるなら覚悟が必要:やめた方がいいのか

農業のメリット・デメリットを記載しましたが、農家はサラリーマンよりも確実に大変です。

農家で儲かるには、

  1. 農作物の選定
  2. どこで栽培するのか
  3. 販路を自ら開拓する
  4. できれば原材料でなく加工して販売する
  5. 行政の補助を調べまくって使用する

この5つが大切です。

農業で儲かる5箇条

1:農作物は付加価値のある農作物の方が売りやすいし高値がつきやすいです。農作物選びで8割決まります。

2:産地で営農するよりもマーケットの近くで営農しましょう。輸送費が高くなり2024年問題(トラック業界の改革)が進み、地方から人口の多い地域に運ぶのは不利になります。

3:農協や市場に依存せず自ら販路を開拓しましょう。中間マージンを取られていては儲かることは不可能です。

4:農作物の原材料は鮮度が命でロスが出ます。kgの単価もおおよそ決まっており劇的に上がることは見込めません。加工にも投資が必要ですが回収可能な投資です。また、プライシングもこちらで可能です。儲かるには加工に参入しましょう。

5:行政の補助を利用しましょう。調べまくってガンガン申請して施設や機械の補助を受けましょう。やってない農家が非常に多く、使えるものは使いましょう。

上の5箇条を念頭に、覚悟を決めて営農すれば儲かります。

スローライフを送りたいみたいな生半可な覚悟では必ず失敗しますので、農業をするときは覚悟を持ってやりましょう。

それでは、また。[PR]

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