

私は今までに3回の転職で大企業→IT上場企業→スタートアップ企業→広告大手企業に転職しました。
その中で、BPO業界に2年ほど在籍していました。
KPOはBPOと似たところがあるので、私のBPO(Knowledge Process Outsourcing)業界での経験と、その業界で働くことをおすすめしない理由について語ります。
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KPO(Knowledge Process Outsourcing)について
こんにちは、みなさん。今日はビジネスにおけるあるトピックについて深堀りしてみたいと思います。それは「KPO(Knowledge Process Outsourcing)」、知識プロセスのアウトソーシングです。これ、最近よく耳にする言葉ですよね。
「BPO」という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。KPOはBPOのBusinessがKnowledgeに変わったバージョンといったところでしょうか。
BPOの記事「絶対に転職してはいけない業界BPOって何?」も読んでくれるとより理解できます!

KPOは、特定のスキルや知識を持つプロフェッショナルに業務を委託することで、コスト削減や効率向上を目指す方式です。
とは言え、メリットばかりではなく、その裏にはリスクも存在します。そこで今回は、KPOのメリットと、それに付随する潜在的なリスクについて、一緒に考えていきたいと思います。
ーKPO活用事例ー
1. 市場リサーチのKPO

背景:
あるスタートアップ企業が新しい製品を市場に投入する前に、市場のニーズや競合製品の分析をしたかった。しかし、内部でその専門的なスキルを持った人材が不足していた。
実施:
この企業は、市場リサーチの専門家が豊富にいるKPOプロバイダーにリサーチ業務をアウトソーシング。細かな市場動向やターゲット顧客の意見、競合との比較分析などの詳細なレポートを取得できた。
結果:
得られた情報を基に、製品の特長やマーケティング戦略を微調整。製品のローンチが大成功となった。
市場リサーチスキルを1から内部で習得するよりもスタートアップ企業にとってはアウトソーシングが妥当な判断と言えますね。
2. 特許リサーチのKPO

背景:
ある医療機器メーカーが新しい技術を開発。しかし、これが既に特許取得されていないか、または特許の侵害にならないかを確認したかった。
実施:
KPOプロバイダーに特許リサーチを依頼。その結果、類似の特許が存在すること、そしてどのようにしてその特許を侵害しないかの方法を提案された。
結果:
早い段階での確認により、訴訟リスクを避け、技術の微調整を行って製品を市場に投入。
この事例は、医療機器メーカーが新しい技術を安全に市場に出すために、特許リサーチの専門家にリサーチをお願いした、というお話です。結果、リサーチで得た情報を使って、法的な問題を避けながら製品を出すことができました。これって、まさにプロの力を借りて、スムーズにビジネスを進めるいい例ですよね。
3. 金融モデリングのKPO

背景:
投資銀行が大手企業の買収案件を進行中。しかし、内部チームは既に他のプロジェクトで手一杯で、新しい金融モデリングを作成する余裕がなかった。
実施:
KPOプロバイダーに金融モデリングの作成を依頼。短期間で詳細かつ正確なモデルが提供された。
結果:
このモデリングを基に、適切な買収価格と戦略を決定。案件が成功裏に進行。
これらの事例から、KPOがビジネスの様々な局面で役立っているのをうかがえますね。
それでは、KPOの良いところを見てきましたが、一方で欠点やリスクも無視できません。次に、そのあたりの内容について詳しく見ていきましょう。
KPO業界はやめとけといえる理由
1. 品質とコンサイステンシーの問題

さて、みなさんが外部の業者さんに頼む時、何を一番気にされますか?それは品質ですよね。でも、KPOにおいて、これがちょっと難しいところなんです。
例えば、自社のチームだったら、みんなで一緒に働いて、何が正しいか、何がダメか、それがすぐに共有できる。でも、仕事を外部に出した場合、そのフィードバックのサイクルが長くなっちゃうんですよ。だから、品質の基準をきっちりと合わせるのが、なかなか大変。
それに、外部の業者さんも、うちだけの仕事をしてるわけじゃないですから、他のクライアントとのバランスを取らないといけない。それが影響して、うちが期待する品質を保ってもらうのが難しくなることもあるんです。
だから、品質と一貫性の問題、これはKPOを利用する際には、本当に注意深く考えないといけないポイントですね。ちょっとしたミスが、後々大きな問題に発展する可能性だってあるわけですから。それに、品質の問題は、結局のところ、お客様に直接影響することが多い。だからこそ、品質管理は絶対に手を抜けないんです。
2. 機密性とセキュリティのリスク

さて、みなさんもご存知の通り、ビジネスにおいて情報は財産ですよね。特に機密情報。これを守るのは、会社の成長と存続にとって絶対に避けては通れない道です。でも、KPOって、これがちょっとデリケートな部分ですよね。
例えば、外部のパートナーに仕事を任せるってことは、当然、重要なデータや情報も共有しないといけない。でも、これって同時にリスクでもあるんです。パートナーがどれだけ信頼できる企業であっても、情報漏洩のリスクはゼロじゃない。だから、データを渡す、共有する、っていうのは、すごく慎重にならないといけないんですよ。
それに、情報の管理体制やセキュリティ対策も、パートナーによってはばらつきがある。だから、うちの会社の基準に合っているか、しっかりと確認しないと、後で大変なことになることだってありえます。
だから、KPOを利用するときは、情報のセキュリティと機密保持について、リスクをしっかりと評価して、それに対する対策をきっちりと立てないといけない。これは、会社の信頼と、ビジネスの未来に直結する大切なポイントですからね。
3. コントロールの喪失

みなさん、外部に仕事を委託するって便利ですよね。でも、それと同時に「自社の手の届かないところに仕事がある」というリアリティもあります。これがコントロールの喪失というやつです。
これをもう少し具体的に言うと、たとえばプロジェクトの進行スピードや品質、これらの細かい部分について、自社だけで完結していれば、すぐにフィードバックをして修正がきく。でも、外部に委託すると、そのフィードバックのサイクルが少し遅れがちです。それに、外部のパートナーは他のクライアントも抱えていることが多いので、必ずしもうちの会社が最優先されるわけではないんです。
だから、もしも納期に間に合わなかったり、品質に問題があったりした場合、それを修正するのに時間がかかる。これが「コントロールの喪失」と言えるでしょう。
これを避けるためには、委託する前にパートナーとしっかりとコミュニケーションをとって、期待値や品質、納期などをはっきりと伝え、確認する必要があります。それと、定期的なアップデートとフィードバックのサイクルを作って、プロジェクトの進行を常に把握する。これが大切ですね。
KPOは便利ですが、それに伴うリスクもちゃんと理解して、どうやってそのリスクを減らすか、それを考えながら進めないと、後で大変なことになる可能性もあるわけです。
4. コスト削減の限界

KPOって、よく「コスト削減」というキーワードで語られることが多いですよね。でも、これ、実はちょっとだけ落とし穴があるんです。
まず、外部に専門的なタスクを委託することで、一見、人件費やオペレーショナルコストが削減できるように思えます。それは間違いないんです。でも、その一方で、委託に伴う管理のコストが発生するわけですよ。
たとえば、委託先とのコミュニケーションコスト、契約の管理、品質のチェック。これらのタスクにも手間とコストがかかるんです。それに、もし品質が期待通りでなかった場合のリワークコストも考慮しないといけません。
だから、「KPO=コスト削減」というのは、ちょっと短絡的かもしれないですね。それに、コストだけを重視して、品質や納期を犠牲にしてしまうと、長期的にはビジネスに悪影響をもたらす可能性もあります。
ですので、KPOを検討する際には、単にコストの側面だけでなく、品質、納期、コミュニケーション、そしてリスク管理の観点からも、しっかりと評価と検討を行う必要があるんです。コスト削減のメリットを享受する一方で、その裏に潜むリスクやコストにも目を向け、バランスの取れた判断をする。これが大切ですね。
5. 人材のスキルセットの劣化

KPO、つまり外部に特定の業務を委託すると、その瞬間は楽なんですよね。自社で人を増やさなくても、特定のスキルを持ったプロに仕事を任せられる。でも、これ、長い目で見るとちょっと問題が出てくる可能性があるんです。
そう、それは自社のスタッフのスキルアップの機会の喪失です。外部に常に専門的な業務を委託してしまうと、内部のチームがそのスキルや知識を自ら身につける機会が減ってしまう。結果、会社全体としての能力や競争力が長期的に見てダウンしてしまう可能性があるんですよ。
例えば、新しい技術や手法が出てきたとき、自社内でそれをマスターして適用できる人材がいないと、常に外部に頼らざるを得なくなります。それが続くと、技術の進歩や市場の変化に対応するスピードが遅くなってしまう。これは、ビジネスの成長やイノベーションに大きなハンディキャップになるわけです。
だから、KPOを利用する時は、コストや効率だけでなく、中長期的に自社の人材がどう育つか、それも大切に考えないといけない。外部に頼ることで得られる利益と、内部のスキルセットの成長とのバランスをしっかりと取る。これが必要ですね。
ー本気で転職を考えている方へー
最後に
KPOって、市場リサーチや特許リサーチなど、専門的な業務を外部のプロにお任せするやり方です。これで、手間を省いたり、もっと質の高い結果を得られたりするメリットがあるんですよ。
でも、それだけじゃなくて、品質のばらつきや、データのセキュリティ、スタッフのスキルの向上といった面でも気をつけないといけない点もあるわけです。だから、KPOを上手に活用するためには、それらのメリットとデメリットをしっかり把握して、バランスよく進めることが大切ですね。
KPO業界は、専門的な知識とスキルを持つプロフェッショナルが活躍するフィールドです。ただ、そのための努力とストレス、それに見合う報酬とキャリアの展望をよく考慮した上で、この業界でのキャリアを検討することをおすすめします。
次回も、業界のリアルな話をお届けします。お楽しみに!
それでは、See you next time!