「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」の中で登場した言葉です。
横文字とカタカナが多いんですが、経産省が発表していて今後の企業の方針を記したとしたれっきとしたレポートなんです。
噛み砕いて分かりやすく言うと、
2025年までに、
- 古いサービス(IT系の)
- すごい昔に作ったシステム
- 企業の古い考え方
とかを刷新しないとすんごい損失出ちゃうよ、国際競争に勝てないよって警告レポートなんですよね。
その損失額は、年間12兆円とも言われているんですよね。
『2025年の崖』詳しく解説しますね。
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『2025年の壁』とは?
『2025年の崖』を解説する前に、DX(デジタルトランスフォーメーション)について知っておかなければなりません。
Digital(デジタル) Transformation(変化)直訳するとこんな感じです。
それは、英語圏でTransをXと略すからです。
「trans」には「across」と同じような意味があって、「across」は交差するって意味があるので、交差=Xってなるのが起源のようです。
だからDXと記載します。
さぁ、本題の『DX』なのですが、『DX』とはデジタル技術を用いて、業務・事業・経営の在り方などを抜本的に改革するという概念です。
GMOの熊谷さんは、
飲食の天才経営者、西山氏率いる「BLUE STAR BURGER」
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) January 5, 2021
アプリで注文のみ=接客&座席なし、コスト削減した分を原価上げ(美味しい)、単価下げ(安い)と言う顧客体験(業務革新)に繋げた。
アプリで注文だけならIT化。
×業務革新があるので、これが飲食DXの素晴らしい事例。@bluestarburgers
こんな感じで分かりやすく解説されています。
また経済産業省は、
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や
社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その
ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
このように定義しています。
単なるIT化とは違って、デジタルの技術を用いて大きな事業の変革をしてねってことです。
2025年の崖を知るためにはDXの理解が必要です。
詳しく知りたい方はこの本がおすすめでした。
読みやすかったです。
DXを理解した上で『2025年の壁』を解説
DXは前章で解説しました。
『2025年の崖』とは経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」の中で登場した言葉です。
2025年までにDXの対応をしなければ、
- デジタル競争に負けて戦えなくなる
- 人材不足で立ち行かなくなる
- 国際競争で負ける
- 企業が衰退し潰れる
他にもいろんな問題があるんですが、こんな感じのことが起こります。
2025年までに対策しなければ、崖から転げ落ちますよ〜ってことです。
だから『2025年の崖』って呼ばれています。
それを経産省が図解したのが下記。
引用:経済産業省 DXレポート
個人的に何がすごいって、最近ようやくハンコがなくなりつつあるお役所が発行しているというところです。
もちろん有識者は沢山入っているでしょうが、アナログなお役所がこんな警笛を鳴らすなんて結構なことだと思います。
中小零細企業にとっては本当に死活問題だと思いますが、時代は待ってくれないです。
大企業にとっても大変な問題です。
変化をあまり得意としない我々日本人には厳しい時代がやってくるでしょう。
なぜ『2025年の壁』問題が提起されたのか
その大きな理由の1つが、『レガシーシステムがブラックボックス化』と言われています。
カタカナ多くてすみません、ちゃんと解説します。
レガシー(過去の遺産)ブラックボックス(内部がどうなってるか不明なもの)
つまり、過去に作ったシステムの内部がどうなってるか不明で、誰も取り扱えないシステムになっちゃってるってことです。
例えば、データベースと呼ばれるデータを保管している場所があります。(膨大なデータを扱う現代の情報システムでは最重要と言えるもの)
そのデータベースの中には色々な情報が格納されているのですが、
- どこに何のデータが格納されているか分からなくなっている
- 継ぎ足し継ぎ足しで作っているのでぐちゃぐちゃ
- WindowsXPにしか対応していない(昔のシステムで現代には不向きなも、サポート終了しているものなど)
こんな感じの問題が多くの企業で起こり始めています。
なぜこのようなことが起こるのか?
- 外注でシステムを作り社内にシステムを扱える人がいない
- 社内でシステムに精通していた人材がいなくなる
- 整理するのに巨額のコストがかかる
こんな感じのことが原因です。
システムは稼働さえしていれば問題はありません。
使えれば支障はないので問題視せず放置します。
そしてWindows7/WindowsServer2008サービスのサポート終了など、維持することの限界がきたタイミングでテコ入れしても遅いことが多いんですよね。
古いシステムは維持費も高騰したり、セキュリティ面で不安があります。
これらの諸問題を放置した結果『2025年の崖』問題が起こる訳です。
『2025年の壁』を乗り越えるには?
『2025年の崖』を乗り越える方法は、レガシーシステムの刷新とDXの推進しかありません。
古いシステムを新しくして、単なるIT化ではなく抜本的な変革が必要不可欠です。
先ほどの経産省の『DXレポート』を元に対策を考えてみます。
DX実現シナリオ
経産省の『DXレポート』の中に『DX実現シナリオ』という資料があります。
その中にはDX実現の為の方法が書かれてあります。
経産省の『DX実現シナリオ』によれば、2020年までにシステムの刷新と経営判断が必要で、DXを先行実施期間としています。
「DX推進システムガイドライン」を踏まえたプランニングや体制構築、さらにはシステム刷新計画策定、共通プラットフォームの検討などの必要性を説いています。
2021年〜2025年はシステム刷新集中期間と名付けて、経営戦略を踏まえたシステム刷新を経営の最優先課題として計画的なシステム刷新を断行するように提唱しています。
簡単に言うと、
- 2020年までに経営判断して方向性決めて先行実施してね
- 2021年〜2025年までにシステム刷新して、安定稼働してね
こんな感じです。
経産省の言いたいことは分かるんですが、これめっちゃ大変ですよね。
ただ、取り掛かるのが遅ければ遅いほど会社に与える負のインパクトは大きくなります。
乗り越えるにはDXの推進が不可欠
『2025年の崖』を乗り越えるには、DXを進めるしかありません。
DXを進めるにあたって、機能分割・刷新/機能追加/機能縮小・廃棄/現状維持など、ITシステム再構築が必要になります。
ここからは個人的な見解なのですが、これらを全て内政で行い社内でIT人材の育成が必要になると考えています。
なぜか?
以前勤めていた会社では、外注は一切せずに社内で全てのシステムを作っていました。
そのため、エンジニアの社員の割合が55%という珍しい会社でした。(エンジニア多すぎ)
今では珍しくないのですが、これが2013年のことだったので当時はかなり珍しかったと思います。
内政でやるメリットとしては、
- 改善・改修が早く何にでもスピーディーに対応できる
- 社内のITリテラシーが格段に上がる
こんなことが言えます。
2年後にはMySQLでデータベースをちょこまかイジって、エンジニアもどきの仕事もできるようになっていました。
なぜなら、
こっちは忙しいんじゃぁ〜
こうなったからです。
本当にエンジニアの仕事は大変で、それを側で見ることができて人生変わりました。
これが外注先なら、こんなことは感じなかったですし、エンジニアの大変さも分かりませんでした。
内政でするとエンジニアの気持ちがよく分かるし、少しでも負荷を減らすために自分で学ぶ人も大勢いました。
ただし、内政でするには教育コスト・採用コストがかかります。
経営者は外注でするコストと天秤にかけ慎重な判断が必要です。
以上が『2025年の崖』に関する私の見解です。
賛否あるとは思いますが、早い対策が必要なのに変わりはありません。
それではこの辺で、See you next time!!