週休3日制って実際どうなの?日本の働き方の歴史を踏まえて解説

ちょうさ
こんにちはちょうさです。転職エージェントとして3000人程の転職のお手伝いをしてきました。
最近何かと話題の週休3日制ですが、前職では週休3日制を取り入れている同僚がちらほらいました。
私は導入しなかったのですが、そもそも何で週休3日制が議論されるようになったかと言うと、衆議院議員で一億総活躍推進本部長の猪口邦子氏が今の週休2日を維持しつつ、希望者が週休3日を選択できるように政府に提案した』ことがきっかけと言われています。
週休3日制導入は、歓迎する声と反対する声、色々な意見があります。
  1. ワークライフバランスの充実
  2. コロナ禍で日本でも柔軟な働き方ができると実証された
  3. 企業の人件費の縮小

 

などなど我々労働者にとってメリット・デメリット両方あるのが現状です。

そこでこの記事では、日本の働き方の変遷を知り週休3日制の是非を考えていこうと思います。

そもそも週休2日・1日8時間というスタンダードな働き方は、始めからあった訳ではありません。

昔の日本人では週1日の休みが基本でした。

 

しかも戦前の日本の年間労働時間は3000~3700時間で、週1の休み、1ヶ月4週で換算すると1日10時間〜12時間の労働時間となります。

 

昔の労働者は劣悪な環境で長時間働いていて、団体交渉やストライキなどで良い待遇を勝ち取ってきた歴史があります。

まずは日本の働き方について解説します。

1日8時間労働になったのは1919年頃

そもそも今の働き方1日8時間労働になったのは1919年頃と言われています。
それまでは1日10時間以上働いてきた日本人ですが、川崎造船所(現:川崎重工)が1日8時間労働を導入します。
労働争議がきっかけで労働者の処遇を改善したのでした。

週の労働時間が48時間になったのは1947年頃

1947年労働基準法の制定により原則週48時間労働が実現します。
この労働基準法では人たるに値する生活」を保障し、週48時間労働、年次有給休暇、女子・年少者の深夜就業禁止、労災補償など労働条件の最低基準を設けました。
多少の変更はありますが、今でも守られているものです。

週休2日になったのは1965年頃:松下幸之助の影響

週休2日になったのは1965年頃と言われています。
パナソニック(当時の松下電器)松下幸之助が他の企業に先駆けて導入しました。
松下幸之助が掲げたスローガンは、『1日教養、1日休養』でした。
日本のリーディングカンパニーであった松下電器が週休2日制度を導入したのをきっかけに、その後急速に普及します。
1992年には国家公務員が完全週休日制を導入し、私たちが通っていた学校も完全週休2日制になりました。
(※週休2日は月1回以上週2の休みがあればOKで週1の休みの週もある、完全週休2日制は毎週必ず2回の休みがあること)

週休3日の導入は最近になって

2017年、佐川急便が日本ではかなり早い段階で週休3日制を導入しました。
その背景にはドライバーの負担減、採用優位性を図るためとも言われています。

ちょうさ
人手不足なのに、週休3日制を導入したら余計大変なんじゃ?
と思う方も多いと思いますが、実際には離職が減り、採用が増え、採用コストも減少したとのことです。
企業の魅力を増やすと、人はついてくるんですね。
2020年にはみずほ銀行が週休3日、4日の導入を表明し、ここは単なる人件費削減の見方が強いです。
衰退産業や、終身雇用で生産性の低い・尚且つ給料の高い定年前の人を多く雇っている企業はこぞって導入すると言われています。(だって日本は人をクビにする要件がとても高いから)
ユニクロも導入は変形労働制を導入し、週休3日&1日10時間勤務なら同じ給料、週休3日で1日8時間労働なら給料が20%減という方式を採用しています。
ユニクロのモデルは下記↓
  • 1日の働く時間は変わらず給料は20%減(週32時間勤務)
日曜 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜
8H 8H 8H 8H
  • 給料は変わらず1日の働く時間が増(週40時間勤務)
日曜 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜
10H 10H 10H 10H
まぁ良し悪しあるとは思いますが選べるのは嬉しいですね。
また、2019年8月には日本マイクロソフトは週休3日制をテスト導入をしています。
テスト導入のデータが非常に面白く、
  • 効率化や生産性向上に良いインパクトを与えた
  • 資格取得やスキルを身に付ける時間が増えた
週休3日を評価すると回答した人が93%にも及び、ほとんどがポジティブな回答でした。
このように日本はこの100年の間に、かなり働き方が変わってきています。

海外との比較

海外ではニュージーランドが国をあげて週休3日制に取り組んでいます。
ニュージーランドでは観光業の6割が国内観光なので、週休3日を実現させ余暇を増やせば国内観光に大きな経済効果があると考えられています。
また、フィンランドでは当時史上最年少の34歳で首相に就任したサンナ・マリン氏が、1日6時間労働週休3日を掲げて動いています。
世界全体で週休3日制が議論される背景としては、
  • 機械化やAIの発達で業務が効率化された
  • 2040年頃には半分の仕事が無くなると言われている
などなど、人の仕事を機械やAIが奪っている背景があります。
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週休3日制は生産性も同時に考えなければならない

 

週休3日制度は、しっかりとした目的と制度設計を行わないと長時間労働や休日出勤が増えるだけとなり、本末転倒の結果となってしまいます。

 

仕事量が同じで、生産性も変わらず、休みだけ多くなると必ず皺寄せがきて上手くいきません。

今の日本に必要なのは、IT化もっと言うとDX化です。【参考:経産省作成のDXレポートを分かりやすく解説】

 

 

DXを簡単に言うとデジタル技術を用いて、業務・事業・経営の在り方などを抜本的に改革するという概念のことです。

効率の悪い業務、何十年も変わっていないオペレーションを見直し、ITの技術を駆使した改革をする時期に差し掛かっています。

 

 

さぁ、やっと脱ハンコということを叫んでいる日本ですが日本の生産性はどうなっているのでしょうか?

日本の生産性の現状は結構最悪で、下記グラフを見てください。

 

日本の生産性

日本の生産性を世界と比較したグラフです。(引用:労働生産性の国際比較 2020

 

簡単に説明すると、1時間働いて何ドルを生み出すかってグラフです。

 

日本は37カ国中21位で、まぁまぁの最悪っぷりです。しかも、34位までは誤差程度です。

 

1位のアイルランドは人は、1時間働くと1万円以上生み出しますが、日本人は1時間働くと4700円しか生み出さない計算です。(1ドル100円計算)

 

 

議論を週休3日制に戻します。

 

この生産性で週休3日制を導入したらどうなるのでしょうか?

従来の月〜金の労働は40時間/週です。月〜木の週休3日制は32時間/週なので80%の労働になります。

 

単純計算、アイルランド人が今より80%程で働いた場合でも日本よりも高い水準の生産性を誇ります。

というか、19位のスペインより上の国が週休3日制を導入しても日本よりも生産性が高いです。

 

つまり、日本人の3/4の労働力で同じ金額を稼ぐことができるので、彼らが週休3日制を導入しても日本よりも豊かです。

日本が週休3日制を導入した場合、ケツから3番目になり、まぁ悲惨なことが待ってると思います。

 

それくらい、日本の生産性って危機的な状況なんです。

 

まぁ、10万円配るのにどんだけ時間がかかるんだよって国だし、コロナで紙とファックスを使っていて対応が後手後手になった国ですから何となく想像はできると思います。

週休3日制のメリット・デメリットについて考えてみる

  • 週休3日制のメリット
  • 子育てや介護の時間に充てられる
  • 学習や副業の時間が増える
  • 仕事の効率化、生産性の向上が見込める
  • 離職率の低下、採用優位性の確立

週休3日のメリットについては、企業側・労働者側双方考えられます。

まず、働く我々としては時間が確保できることが大きなメリットです。

時間ができれば、副業、子育て、介護、趣味自分の人生を豊かにすることができるでしょう。

 

企業側としては、生産性の向上、離職率の低下、採用優位性の確立ができます。

いずれにしてもメリットから受ける恩恵は大きいように感じます。

 

  • 週休3日制のデメリット
  • 給与が下がる
  • 従業員のモチベーション維持に苦労する
  • 生産性が向上しなかったら長時間労働の原因となる
  • 制度設計や効率化のコストがかかる
1番気になっているのが給料の部分だと思います。
先ほども記載したのですが、殆どの場合は給料が減るでしょう。
  • 1日の働く時間は変わらず給料は20%減(週32時間勤務)
日曜 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜
8H 8H 8H 8H
  • 給料は変わらず1日の働く時間が増(週40時間勤務)
日曜 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜
10H 10H 10H 10H
これにより、従業員のモチベーションの低下、生活水準の低下が起こり得るとなると、なかなか踏み切れないのも事実です。
個人的には、もし週休3日制を検討するなら企業に依存しすぎない働き方をするといいと思います。
年収が2割下がっても平気な暮らしをする、収入の軸をいくつか用意しておくことを強くお勧めします。

ちょうさ
週休3日制について、いかがでしたか?
週休3日を実現したい方は転職エージェントに相談もOKですよ。
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是非いいキャリアを築いてください。

それでは、See you next time!!

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